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メモリとコンテキスト運用

セッション・メモリ・コンテキストで、データがどう保持され流れるかは押さえました。このレシピは運用編 ─ 「困りごと」から逆算して、どの値をどう動かすかをまとめます。各項目の正確な既定値と内部キーはメモリとコンテキストを前提とします。

大原則は一つです。まず既定値のまま使い、具体的な困りごとが出たときだけ、その困りごとに対応する値を段階的に動かす。先回りで大きく変えると、毎ターンのコンテキスト消費が増えたり、文脈が削れすぎたりして、かえって不安定になります。

困りごと別の調整

重要なことをすぐ忘れる

セッションをまたいで覚えていてほしい事実や好みが、よく欠落する場合です。

  • 永続メモリmemory.memory_enabled)とユーザープロファイルmemory.user_profile_enabled)がオンか確認する(個人利用は既定オン)。
  • それでも頻繁に抜けるなら、メモリ予算(既定2200文字)やプロファイル予算(既定1375文字)を段階的に増やす。
  • 蓄積状況を確かめるには、チャットで /journey を実行する ─ メモリグラフのオーバーレイが開き、Hermesが蓄積したメモリやスキルを視覚的に確認できる。

ただし予算を増やすほど、保持できる情報は増える一方で毎ターンのコンテキスト消費も増えます。一気に倍にせず、少し増やして様子を見る、を繰り返します。

長い会話でモデルの上限に達する

会話が長くなると、モデルが一度に扱えるコンテキスト上限に近づきます。これは自動圧縮(古い会話を要約して空きを作る機能)で対処します。

  • 自動圧縮compression.enabled)はオンのままにする。オフだと長い会話で上限に達しやすい。
  • 圧縮しきい値compression.threshold、既定0.5): 上限に対して何割で圧縮を始めるか。小さいほど早く圧縮し原文を早く失う、大きいほど原文を長く保つが上限に近づく。推奨は0.5~0.7。
  • 圧縮目標compression.target_ratio、既定0.2): 圧縮後に残す割合。0.2は上限の2割程度を目標にする。
  • 保護する直近メッセージcompression.protect_last_n、既定20): 要約せず原文のまま残す最新メッセージ数。直近のやり取りを正確に保ちたいなら維持か増やす。

「直近の指示は正確に残したいが、古い経緯は要約でよい」という長時間タスクでは、しきい値をやや上げて原文を長く保ちつつ、protect_last_n で直近を守る、という組み合わせが効きます。

圧縮だけに頼ると再現性が下がる

圧縮は要約なので、細部は失われます。重要な決定や成果物は、コンテキストに頼らずプロジェクトのファイルへ書き出しておくと、あとから正確に参照できます。

長期タスクでは、圧縮設定のチューニングと並行して、決定事項・仕様・成果物をファイルに記録する運用を併用してください。コンテキストは消えても、ファイルは残ります。

機密データを扱う・共同端末で使う

保存してはいけないデータを扱う場合や、端末を共有する場合は、メモリを安全側に倒します。

  • 永続メモリユーザープロファイルをオフにする(セッションをまたぐ保存・注入を止める)。
  • 顧客ごとに分離が必要なら、プロファイル(プロファイル管理)を分け、機密作業用は永続メモリをオフにした構成にしておく。
  • メモリへ資格情報や秘密鍵を保存させない。シークレットを伏せる設定(安全性)も併せて確認する。

メモリプロバイダーの選択

メモリの保存先(プロバイダー)は、ドロップダウンで「内蔵のみ」「Honcho」「Hindsight」の3択から選べます。空欄=「内蔵のみ」が内蔵メモリの正式な指定方法で、builtin の明示選択はありません(過去に保存した builtin 値は、選択肢としては提示されず現在値としてのみ表示されます)。

  • 内蔵のみ(空欄): 外部資格情報が不要で、まずはこれで十分。
  • Hindsight / Honcho: 外部メモリサービスを使う高度な選択。APIキーやBASE URLなどの外部資格情報が必要になり、管理の手間とリスクが増えます。内蔵で足りないと判断したときだけ検討します。

外部プロバイダー(Honcho / Hindsight)を選ぶと、ドロップダウンの下にインライン設定パネルと接続UIが表示されるので、そこで資格情報を設定します ─ 項目の詳細はメモリとコンテキストを参照してください。

外部プロバイダーは「能力と同時に責任が増える」典型です。まず内蔵で足りるかを確かめてから移行します。

前提・操作・期待結果・つまずいたら

  • 前提: メモリとコンテキストの仕組みを概念で理解し、「メモリとコンテキスト」設定を開ける。
  • 操作: 既定値から始め、困りごと(忘れる/上限に達する/機密)に対応する値だけを段階的に動かす。長期タスクは成果物をファイルに記録する運用と併用する。
  • 期待結果: 重要事項が保持され、長い会話でも破綻せず、機密作業ではセッションをまたぐ保存を止められる。
  • つまずいたら:
    • 値を変えても改善しない: 一度に大きく変えず、1項目ずつ少し動かして効果を見る。既定値に戻して切り分ける。
    • コンテキスト消費が増えて重い: 予算を上げすぎていないか確認する。上げた予算を戻す。
    • 直近の指示まで要約されてしまう: protect_last_n(保護する直近メッセージ)を増やす。
    • メモリに入れたくない情報が残る: 永続メモリ/ユーザープロファイルをオフにし、機密作業用プロファイルに分ける。
    • 外部プロバイダーが動かない: 選択したプロバイダーのAPIキー・BASE URLが設定済みか確認する。

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